SPECIAL
「オークブリッジ邸の笑わない貴婦人―新人メイドと秘密の写真―」
太田紫織/著
toi8/イラスト
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物語
愛川鈴佳、21歳。明日から、十九世紀に行ってきます。「完璧なヴィクトリアンメイド募集」――派遣家政婦・愛川鈴佳に舞い込んだ風変りな依頼は、老婦人の生涯の夢のお手伝い。旭川近郊の美しい町に十九世紀英国を再現したお屋敷で、鈴佳は「メイドのアイリーン」になった。気難しい奥様の注文に、執事のユーリや料理人ミセス・ウィスタリア、農家のスミス夫人たちと応えるうち、新人メイドは奥様の秘密に触れ......。【監修・村上リコ】
メイドは愛しますよ、どんな我儘(わがまま)なお嬢様でも。24時間を十九世紀英国式に暮らす、北海道東川町のお屋敷。ここでのメイド生活にも慣れた鈴佳は、今、真夏の悪夢に襲われていた。暑さのせいだけじゃない。サボり上手な後輩メイドに我儘なお嬢様、その上鈴佳の"罪"を知る昔のご主人様まで現れて......。川遊び、乗馬、純情な愛の逃避行。階上(アップステアーズ)で過ごすご主人様の夢を叶えるため、お屋敷の歯車たちは、今日も階下(ダウンステアーズ)を駆け回る!
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登場人物
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アイリーン・メイディ/愛川鈴佳(あいかわすずか)
高校卒業後、札幌の家政婦派遣会社に就職した21歳。昔気質の祖母に仕込まれた家事が性に合い、自分でも家政婦の仕事を天職だと感じてきた。
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奥様/楢橋タエならはしたえ
人生の終わりを、完全に再現された英国ヴィクトリア朝時代の生活の中で過ごすことを願い、北海道・旭川市に隣接する東川町に移り住む。アイリーンがメイドとして働くことになったオークブリッジ邸の女主人。
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ユーリさん/楢橋優利ならはしゆうり
アイリーンを雇い入れた楢橋家の長男、タエの孫。札幌でIT関係の企業を経営しているが、オークブリッジ邸では執事として仕えている。アイリーンの厳しい教育係。
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エドワード様
天真爛漫な性格で、気儘な暮らしを送っている楢橋家の次男。30歳を目前にして定職に就かず、兄のユーリさんを悩ませている問題の放蕩児。
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スミス夫人
東京から引っ越して来て、夫婦で農園を始めたオークブリッジ邸のよき理解者。生活必需品や食材を仕入れて届けてくれている。
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ミセス・ウィスタリア
本州でレストランを経営していたが、ある事情により「もう他人には料理をしない」と決意した。しかし、スミス夫人の紹介でアイリーンに料理を指導することに。
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エズミお嬢様
ユーリさん、エドワード様の年の離れた妹。フランスに留学をしているが、突然お屋敷に現れた。
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エミリー・タウラー
ユーリさんがメイドカフェでスカウトしてきた、アイリーンより少し年上の後輩メイド。
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著者紹介
太田紫織Ōta Shiori1978(昭和53)年、北海道札幌市生まれ。2012(平成24)年、小説投稿サイトE☆エブリスタで発表した「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」でE☆エブリスタ電子書籍大賞 ミステリー部門(角川書店)優秀賞を受賞し、デビュー。同作はシリーズ累計60万部を越え、2015年にはアニメ化も決定した。他の著書に「魔女は月曜日に嘘をつく」シリーズがある。