宮澤賢治―雨ニモマケズという祈り―
1,760円(税込)
発売日:2011/07/25
- 書籍
「宮澤賢治なら、この震災の被災者にどんな言葉を手向けるのだろう」重松清
作品を貫く世界観や言葉づかいの秘密を、自然観察者(ナチュラリスト)・賢治の視点から鮮やかに読み解く。また、賢治が生涯を過ごした岩手の風景を撮り続ける写真家の名ショットを満載し、37年の短い人生の足跡をたどる。囁かれていた「秘められた恋」の真実も、新証言によってついに明らかに! 重松清氏による鎮魂のサハリン紀行エッセイも特別収録。
サハリン紀行
雪の栄浜にて
重松清
――賢治の生涯
澤口たまみ
1 「石こ賢さん」と呼ばれた幼少期
2 盛岡で謳歌した青春と病の影
3 友と生徒と音楽と――教師時代
4 羅須地人協会の設立そして終焉の時
「銀河」を互いの胸に秘め
――賢治の心の友・保阪嘉内
小松健一
小岩井農場の四季
――賢治のまなざし
澤口たまみ
――賢治の恋
澤口たまみ
書誌情報
読み仮名 | ミヤザワケンジアメニモマケズトイウイノリ |
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シリーズ名 | とんぼの本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | B5判変型 |
頁数 | 128ページ |
ISBN | 978-4-10-602221-0 |
C-CODE | 0391 |
ジャンル | 文学賞受賞作家、ノンフィクション |
定価 | 1,760円 |
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担当編集者のひとこと
宮澤賢治―雨ニモマケズという祈り―
この本の構想は、実は2年前に始まりました。賢治作品の原風景を長年撮り続け、彼の親友・保阪嘉内についても研究する写真家・小松健一さんと、「賢治さんで一冊を」と話してきました。
加えて執筆には、賢治が生前訪れた樺太(サハリン)を、改めて訪ねていただく重松清さん、そして岩手在住で高校・大学と賢治の後輩にあたり、彼の生涯や作品について書いていただく澤口たまみさんのお二方のご協力も決まり、本格的に編集作業に入った矢先――2011年3月11日、東日本大震災が起きました。「雨ニモマケズ 風ニモマケズ……」と賢治は手帳に書き残しました。自分が理想とする人物像を描いています。それは不治の病の床にあって、やり残した多くを想い、記されたのだと思います。「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」と締めくくった時、彼の胸の内はいかばかりだったか……。
三陸を襲った明治の大津波の年に生まれ、同じく昭和の大津波の年に亡くなった宮澤賢治。そして期せずして、平成の大津波の年に、この本ができました。岩手の人のため、もっと生きたかった彼の残した言葉は、まさに今、イーハトーブのすべての人が幸せになりますようにという、願いであると思うのです。
2011/07/25
著者プロフィール
重松清
シゲマツ・キヨシ
1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々に発表している。著書は他に、『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『きみの友だち』『カシオペアの丘で』『青い鳥』『くちぶえ番長』『せんせい。』『とんび』『ステップ』『かあちゃん』『ポニーテール』『また次の春へ』『赤ヘル1975』『一人っ子同盟』『どんまい』『木曜日の子ども』『ひこばえ』『ハレルヤ!』『おくることば』など多数。
澤口たまみ
サワグチ・タマミ
昭和35(1960)年、岩手県盛岡市生まれ。盛岡第一高等学校(旧・盛岡中学校)、岩手大学農学部(旧・盛岡高等農林学校)卒と、賢治の後輩に当たる。平成2(1990)年『虫のつぶやき聞こえたよ』で第38回日本エッセイストクラブ賞受賞。以後、自然や昆虫をテーマにエッセイ、絵本のテキストを書く。著書は『宮澤賢治 愛のうた』『昆虫楽園』『わたしのあかちゃん』など。
小松健一
コマツ・ケンイチ
1953(昭和28)年、岡山県に生まれ、群馬県に育つ。近代文学、作家の原風景をモティーフにした日本人の暮らしと風土、沖縄、環境問題など社会的テーマを追う。また厳しい大地の中で自然と共生する民族の撮影をライフワークに地球巡礼をしている。1999年『雲上の神々 ムスタン・ドルパ』(冬青社)で第2回飯田市藤本四八写真文化賞、2005年『ヒマラヤ古寺巡礼』(インデックス・コミュニケーションズ)で日本写真協会賞年度賞受賞。著書に『三国志の風景』(1995年 岩波新書)、『文学の風景をゆく』(2003年 PHPエル新書)、『太宰治と旅する津軽』(2009年 新潮社)、『宮澤賢治 雨ニモマケズという祈り』(共著 2011年 同)など多数。