ホーム > 僕僕先生―ぼくぼくステーション― > キャラクター
- 出身地不明。
年齢不明。
酒好き? - 先生の厳しいイジリにもめげることなく(おおむね)真面目に修行中
- 旅のお供に、この第狸奴は欠かせません。いつでもどこでもひと声かければ…
- 普段は無口ですけど、歌がとても上手いんです。
- 『胡蝶の失くし物』で登場した蚕嬢は、実は苗人の王女さま。
- 水晶(蚕嬢)の補佐役に選ばれたはずが、彼女の誘惑に負けた青年。
- 神仙が残酷な戦を繰り広げた時代を知る古の神。老人姿になることも。
- 燭陰の戦友。
出身地不明。年齢不明。白鬚の老人や医者に姿を変えることもあり、実は性別も不明。神仙の道を究めて不老長寿を得たいと願う王滔が、いい歳をして腰の定まらないぐうたら息子を「近年仙人が住まわれたと聞く」黄土山に使いに出したのが、僕僕先生と王弁の出会いでありました。可愛い顔をしていながら、なんだか毒があるような(ないような)セリフでいつも周囲を煙に巻く先生なので困ります。酒好き?
屋根に座っている人物は、父親が着ているようなゆったりとした道服を身につけている。盛春の青空の一角を切り取ったような鮮やかな青。腰までありそうな長くてつややかな黒髪が緩やかな風になびいている。そうして王弁の目がようやく陽光に慣れて目にしたその姿は、まだ十代の半ばほどにしか見えない少女のものであった。――『僕僕先生』より
ページの先頭へ
光州無隷県の元県令、王滔の息子。初登場時は22歳。裕福な家庭に育ちながら、どうしても人生に情熱を傾けられない青年は、当世風に言えば「ニート」ということになるのでしょうか。でも、世間が「ニート」と一括りにする人たちが実はそれぞれの事情を抱えているように、王滔さんがいつもキレていた王弁くんのぐうたら生活にも、きっと他人にはわからない思いが隠されていたのでしょう。僕僕に弟子入りしてからの王弁くん、先生の厳しいイジリにもめげることなく(おおむね)真面目に修行中です。
何もせず佳肴を楽しみ、風光を愛でる生活こそ最上だと彼は思っていたし、それを実現できる自分の境遇を喜んでいた。父や親族の目など何ほどの事もなかった。何か激しい遊興をしたり、悪に手を染めるようなこともしていないという自負だけはあったからだ。――『僕僕先生』より
ページの先頭へ
旅のお供に、この第狸奴は欠かせません。いつでもどこでもひと声かければ、快適な宿に早変わり! ……かどうかは、あなたの心がけ次第でして。「人間の指などその爪と牙で簡単に吹っ飛ばしてしまう」という気性の荒い一面もあり、初対面の王弁くんは「しゃあっ!」と威嚇されておりました。
「これは第狸奴という生物さ。もともと違う種族にはなつかないが、仲良くなるとその友人のために何にでも姿を変えてくれる。最も得意なのは家のような動かないものだな。……」――『僕僕先生』より
ページの先頭へ
地下を流れる水と気の流れ(龍脈)利用して、数刻で数万里を往く小船を操る淮水の神。とある英雄に仕えて一度は天界に上った彼が、結局は煩悩多き地上で暮らすことを選んだ事情が、『僕僕先生』にチラッと出てきます。この世はまったく、奥深いことよ……。普段は無口ですけど、歌がとても上手いんです。
鉈で荒彫りしたような顔のその老爺は、僕僕の顔を見ただけで頷くと竿をしまい、乗れとばかりに顎をしゃくった。ぐっと両側に張ったその頤は川底の岩すら噛み砕きそうで、そうでありながら淮水の流れのごとくその表情は穏かであった。――『僕僕先生』より
ページの先頭へ
五色の雲に乗って移動するなどというワザを持たない王弁のために、僕僕先生が買い与えた素晴らしい名馬。でも普段の姿はボロボロの痩せ馬で、王弁は最初、またがったらつぶれちゃうんじゃないかと心配したほどでした。ところが、その痩せ馬がひとたび真の姿を現すと……。『僕僕先生』の中では「しゃべる吉良」という貴重なシーンも描かれています。彼の昔語りがまた、ストイックな感じで超シブい!
字は子微、またの名を白雲子。年のころは三十前後、声がデカくて筋骨逞しい豪快系キャラが基本ですが、陽の気と陰の気を自在に操って、自分の内面と雰囲気を一瞬で変えてしまうことも可能(で、それを使ってウブな王弁くんをイジることも可能)。そこはそれ、白雲子さんは僕僕さんも認める実力派仙人ですから。まだ人間であったころ、僕僕さんに弟子入り志願したという秘密の過去アリ。
ふと目線を前に向けると、司馬承禎が微笑んだまま王弁たちのほうを見ていた。すると、見ている間に明らかに彼を取り巻く空気の色が変わっていく。時に太陽のように明るく、時に闇夜のように暗く、……『僕僕先生』より
ページの先頭へ
……僕僕よりは二つ三つ年上に見える彼女は、頭頂に丸い髷を作り、余った豊かな髪を腰まで垂らしている。錦の衣は鮮やかな朱で染め上げられており、流水の紋様が縫い取られ、輝くようなあでやかさである。――『僕僕先生』より
ページの先頭へ
「鼈」という漢字は「スッポン」という意味だそうです。ただし珠鼈の大きさは二丈(約6メートル)四方! 僕僕さんはこの妖異を呼び出して、なんと船の代わりに使うのです。目玉が四つに足は六本、時々しゃべりながら寝てしまう。人間たちの間に紛れる時は、「恰幅のよい初老の男」に変装します(でもしゃべりはおネエのまま?)。
姿よりも王弁を驚かせたのは、この亀だかなまずだかわからない物の怪が、婀娜っぽい女性の声で話したことであった。
「あら、センセもなかなかやるわねえ。若いツバメを捕まえるなんてさ」――『薄妃の恋』収録作「羊羹比賽」より
「あら、センセもなかなかやるわねえ。若いツバメを捕まえるなんてさ」――『薄妃の恋』収録作「羊羹比賽」より
ページの先頭へ
雷神たちのしきたりでは、一人前になってはじめて名前がもらえるんだそうです。牙があってもコドモはコドモ。「高貴な神様なんだぞ」とか威張ってみせても普通はダメなんですが、このくんには例外的に名前がある。実はこれ、ひょんなことから彼と親友になった人間の少年がつけてくれた名前でした。詳細はぜひ、夏の青空のように爽やかな友情の物語「陽児雷児」をお読みになって!
人間の男に恋をして、彼と逢瀬を重ねるために死人の体を借りていたという妖異。美しい娘の姿でも、体の中は墓場かどこかで集めた骨だと僕僕さんが見破りました。初登場の「飄飄薄妃」(『薄妃の恋』収録)ではちょっと怖くて哀しい雰囲気のキャラでしたが、皮だけになって僕僕一行と旅に出てみると意外にお茶目。僕僕さんに「気」を注入してもらうと、風船みたいに膨らんで普通のヒト型(美女!)になります。
洗われた手ぬぐいのように、第狸奴の軒に吊り下げられた皮娘は薄妃である。春の温かな光に撫でられながら、ひらひらと風に舞っている。人が風にはためいているのはなかなか妙な光景ではあるが、薄妃自身は一向に気にしていない。――『薄妃の恋』収録作「健忘収支」より
ページの先頭へ
「五嶽」と称される道教の聖山のひとつ衡山(南嶽)の女神さま。ええ、大変な酒乱です。退屈すると司馬承禎を呼び出してつきあわせたり、酔って僕僕先生に絡んだり……。そういえば、魏夫人に殴られた僕僕さんが目の回りに青アザを作っていたこともありました(笑)。ワガママ系ですが、いいんですよ女神さまだし。
「下手なお世辞、言ってんじゃないわよ!」
胸倉をつかんだままの女神は、酔っているとは思えないほどの身ごなしで司馬承禎の体を投げ飛ばし、岩肌に叩きつけるとわんわんと顔を覆って泣き出した。
岩にめりこんだ司馬承禎も戸惑うやらわけがわからないやらで、……。――『薄妃の恋』収録作「奪心之歌」より
胸倉をつかんだままの女神は、酔っているとは思えないほどの身ごなしで司馬承禎の体を投げ飛ばし、岩肌に叩きつけるとわんわんと顔を覆って泣き出した。
岩にめりこんだ司馬承禎も戸惑うやらわけがわからないやらで、……。――『薄妃の恋』収録作「奪心之歌」より
ページの先頭へ
王弁くんのお父上。神仙の世界に憧れ、道術の探求にのめり込んでいます。ぐうたら息子とは対照的に、若いころから一生懸命勉強して光州無隷県の県令にまで出世、現在は隠居の身です。下の引用部に出てくる「進士」というのは科挙の登用区分のうちの一つで最難関とされ、唐代後期には、この進士科出身者が国の政治の中心を担うようになりました。でも、王弁くんはお父上のそんな生き方がピンとこない。うーん、どうなんでしょうねぇ。確かに、働いて働いて仕事を引退したら今度は不老長寿に熱中というのも、王弁くんから見ればちょっとイタいか。でも、王滔さんの気持ちもわかるしなー。微妙な関係の父と息子の今後にも注目です!
父親は住んでいる屋敷との装飾品にふさわしく、青くゆったりとした道服にその痩身を包んではいるが、息子を糾すその指先は神経質にぶるぶると震えていた。
「おまえはもう二十を二つも超えておるのだぞ。なのに日がな一日庭でぼおっとしおって。わしがおまえの年のころには進士に挙げられてだな……」――『僕僕先生』より
ページの先頭へ
世間からは窺い知れない権力者たちの舞台裏で、誰かが誰かを消そうとするとき、秘密暗殺組織「胡蝶房」に命が下る。その「胡蝶房」でも有数の殺し屋とされるのが、この劉欣です。異様に長い手足、骸骨のような容貌。懐には径三分・長さ二尺の吹き矢筒を始め、必殺の暗器(暗殺用の武器)を忍ばせる。シリーズの中では珍しいシリアスなキャラクター。彼が命じられた任務は、なんと! 僕僕先生と王弁くんの命を奪え、というものでした。次第に明かされる悲しい生い立ち、惜しみない愛情を注いでくれる養父母の存在、組織の掟を裏切る苦しみ――。緊迫の戦闘シーンとともに進む物語の中で、劉欣が次第に人間らしい心に目覚めてゆく姿は、もう、感動……。
整然と並んだ瓦の上をナナフシのように細長い手足を持った、しかし虫というにはあまりに大きな影が音もなく滑っていく。……目から下を浅黄色の布で覆った影は指一本で瓦の端につかまると、綱も使わずに壁を下り始める。大きくせり出した屋根も垂直の壁もまるで無きがごとく進んでいく。――『胡蝶の失くし物』収録作「職業兇徒」より
ページの先頭へ
行く先々で僕僕たちを襲う謎の人物「面縛の道士」の手中から薄妃が救った不思議な蚕。旅の一行に加わってみれば、これがもう超おきゃんな娘で!(いや、姿は蚕ですけど)
人語を解し、蓬莱にいる天蚕と同じくらい軽くて強い糸を吐く(ただし、機嫌のいいときだけ)。お気に入りの場所は王弁のフトコロ。だからと言って懐くでもなく、腹が立つと王弁のヘソに口吻をつけ、ブブーッと吹いて悶絶させる。どうやら大陸の南の地方に住む少数民族、苗の国出身らしいのだが、その正体は謎に包まれており……。
「ねえねえ、もっと聞かせてくれないと、もう糸吐いてあげないわよ」
蚕がきょんきょんと明るい少女の声で、物思いにふける王弁を見上げる。蚕は吐き出した糸を手の形に作り、その白い指で彼の頬をつねり上げた。――『胡蝶の失くし物』収録作「回来走去」より
蚕がきょんきょんと明るい少女の声で、物思いにふける王弁を見上げる。蚕は吐き出した糸を手の形に作り、その白い指で彼の頬をつねり上げた。――『胡蝶の失くし物』収録作「回来走去」より
ページの先頭へ
司馬承禎の屋敷の門前にいる二人の童子。王弁の唯一の武器(?)ともいうべき、人や神仙の心を動かすラッパ「哨吶」を贈ってくれたのは、この二人です。厳密には神仙ではないのですが、実は天地が創造されたころの記憶すらあるらしいという特別な存在。シリーズ第四巻『さびしい女神』では、この「太古の記憶」を辿って王弁と吉良を壮大な旅に導きます。“ぴるぴる”って声がかわいいのだ。どっちかが那那(ナナ)で、もう一人が這這(シャシャ)。……という名前だということは、いまのところ仁木先生の脳内だけでの決まり事。
その門前には、夜も更けたというのに二人の童子がおはじきを飛ばして遊んでいる。
「僕僕が来たと伝えてくれ」
彼女がその子供達に告げると、ぴょんと門扉を飛び越えて姿を消した。信じられない跳躍力である。――『僕僕先生』より
「僕僕が来たと伝えてくれ」
彼女がその子供達に告げると、ぴょんと門扉を飛び越えて姿を消した。信じられない跳躍力である。――『僕僕先生』より
ページの先頭へ
苗人の土地で王弁が出会った女神さま。人の仲間になりたいと願うものの、彼女には世界を滅ぼす恐ろしい力もあって……。
魃は久しぶりの客が嬉しいのか、しきりと王弁の世話を焼きたがった。水は自分で汲めと言われるものの、食べ物は魃が持ってきてくれるのだ。ただし、全て乾き物である。米ですら乾し飯(ほしいい)だ。――『さびしい女神』より
ページの先頭へ
●碧水晶(へきすいしょう)
『胡蝶の失くし物』で登場した蚕嬢は、実は苗人の王女さま。12年のあいだ神に仕える決まりを破って脱走し、人々に災厄をもたらしてしまった?
●茶風森(ちゃふうしん)
水晶(蚕嬢)の補佐役に選ばれたはずが、彼女の誘惑に負けた青年。ふくろうに姿を変えているが、彼のある決意が水晶の傲慢な心を変えてゆく。
茶風森は先ほどの勇壮な様子はどこへやら、へどもどと小さく言い訳するばかりだ。その様を見て、いよいよ観衆は笑う。だが笑い声は温かく、優しいものだった。
さあ、とばかりに碧水晶は手を差し出す。茶風森はおずおずと、しかししっかりとその手を握った。観衆の歓声が爆発し、皆が立ち上がって手を叩く。――『先生の隠しごと』より
さあ、とばかりに碧水晶は手を差し出す。茶風森はおずおずと、しかししっかりとその手を握った。観衆の歓声が爆発し、皆が立ち上がって手を叩く。――『先生の隠しごと』より
ページの先頭へ
●燭陰(しょくいん)
神仙が残酷な戦を繰り広げた時代を知る古の神。過去を隠しひっそり暮らすが、王弁の頼みを受け入れ真実を知らせてやる決意をした。老人姿になることも。
●耕父(こうふ)
燭陰の戦友。燭陰と共に訪ねてきた王弁に、自分の記憶を覗かせることで太古の戦場を見せる。そこには生まれたばかりの魃の哀しい姿があった。
「耕父。わしじゃ。戦友の燭陰が六百年ぶりに会いに来たぞ。起きろ」
口を老人の耳元につけて繰り返し呼ぶが、それでも反応がない。
「しゃあないのう」
燭陰はごそごそと懐をまさぐる。しかし探し物はなかなか見つからないようで、身をよじってあちこち手を突っ込んでいる。――『さびしい女神』より
口を老人の耳元につけて繰り返し呼ぶが、それでも反応がない。
「しゃあないのう」
燭陰はごそごそと懐をまさぐる。しかし探し物はなかなか見つからないようで、身をよじってあちこち手を突っ込んでいる。――『さびしい女神』より
ページの先頭へ
長安から南西に数千里離れた辺境の土地で、漢人から虐げられた異民族だけの理想郷を作ろうとしている青年。カリスマ性あふれるリーダーで民衆の信頼を集めているが、素顔は謎に包まれている。エキゾチックな美貌は様々な民族の血が流れていることを示唆しており、母親は突厥の神に仕えていた巫女だという。
幼い頃、刑死した母と一緒に殺されるはずのところを、天地の威による奇蹟で命拾いした過去がある。この体験から“清浄な天地”を実現させることを決意しており、そのためのパートナーに僕僕先生を選ぶのだが……。
実はこのラクス、教科書にも必ず出てくる人物の若かりし日という設定になっています。『先生の隠しごと』を最後までお読みいただくと、また味わい深い楽しみがあるかも。
*ラクスのイメージモデルは本当に存在した人物ですが、若い頃、この作品に描かれているような出来事があったという点は架空の話です。だから、テストに書いたりすると×ですよ!
碧に輝く瞳と高い鼻梁は胡人に見える。大きな瞳は苗人にも見える。そして引きしまった薄いくちびるは東北部の渤海辺りの若者によく見られる特徴だった。肌の色は美しい小麦色で、中原の南の辺りでよく見る肌の色だ。……
「どこの人間かと不思議に思うだろ?」
王弁の戸惑いを見透かしたようにラクスは言った。
「私と相対する者は、みな私が自分と同じ血を持つ人間だと思うんだ」――『先生の隠しごと』より
「どこの人間かと不思議に思うだろ?」
王弁の戸惑いを見透かしたようにラクスは言った。
「私と相対する者は、みな私が自分と同じ血を持つ人間だと思うんだ」――『先生の隠しごと』より
ページの先頭へ